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DVの被害に遭っていても、「自分が悪いのかもしれない」「大げさかもしれない」と思ってしまい、誰にも相談できないまま時間が過ぎてしまう方は少なくありません。配偶者からの暴力は身体的なものだけでなく、精神的・経済的・性的な形でも起こります。被害者自身が「これはDVなのか」と判断できないケースも多いのが現実です。
この記事では、DVの相談窓口を網羅的にご紹介します。24時間対応で通話料無料のもの、匿名でも使えるもの、男性でも利用できる窓口もあります。「まず話を聞いてもらうだけ」という使い方もできますので、気になった方は最初の一歩として活用してください。
DVとは何か|定義と4つの種類
DV(ドメスティック・バイオレンス)は、配偶者やパートナーからの暴力を指します。殴る・蹴るといった身体的暴力だけがDVではなく、「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」は次の4種類の暴力を対象としています。
- 身体的DV — 殴る、蹴る、物を投げる、首を絞める、引っ張るなど
- 精神的DV(モラハラ) — 暴言、無視、人格否定、行動の監視・制限、脅迫など
- 経済的DV — 生活費を渡さない、仕事を辞めさせる、収入を一方的に管理するなど
- 性的DV — 性行為の強要、避妊に協力しない、性的な画像・動画の無断撮影など
内閣府の調査によれば、配偶者から暴力を受けた経験がある女性は約4人に1人。男性でも約5人に1人が被害を経験しているとされています。DVは決して珍しいことではなく、あらゆる家庭で起こりうる問題です。
DV相談窓口一覧|主な公的相談先
代表的な公的相談窓口を最初にまとめます。いずれも無料・匿名で利用できます。
| 窓口 | 受付方法 | 連絡先・受付時間 |
|---|---|---|
| DV相談プラス(内閣府) | 電話・メール・チャット | 0120-279-889(電話は24時間・通話料無料) |
| 配偶者暴力相談支援センター | 対面・電話 | 各都道府県(内閣府サイトで検索可) |
| 警察(相談専用) | 電話 | #9110(緊急時は110番) |
| 法テラス | 電話・対面 | 0570-078374(平日) |
DV相談プラス(内閣府・0120-279-889)
内閣府が運営するDV相談プラスは、電話・メール・チャットの3種類で相談できる最も包括的な公的窓口です。24時間対応・通話料無料・10言語に対応しており、匿名での相談も可能です。
- 電話:0120-279-889(24時間・通話料無料)
- メール相談:24時間受付、48時間以内に返信
- チャット相談:12時〜22時
- 外国語対応:10言語(英語・中国語・韓国語など)
配偶者暴力相談支援センター
各都道府県に設置されている公的な相談機関です。対面での相談が可能で、必要に応じてシェルター(一時保護施設)への入所手続きも行ってもらえます。最寄りのセンターは内閣府のサイトから都道府県別に検索できます。相談は原則無料です。
警察(#9110・生活安全課)
身体的な暴力がある場合や、身の危険を感じた場合は警察に相談できます。緊急時は110番、非緊急の相談・悩み事には#9110(警察相談専用電話)を利用してください。DV被害の相談記録は、将来の保護命令申立てや離婚調停の際に重要な資料として活用できます。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスでは、DV被害者向けの法律相談を無料で受けられます。収入要件を満たす方には弁護士費用の立替制度もあります。保護命令の申立て、離婚手続き、慰謝料請求について法的なアドバイスがほしい場合に適した窓口です。
男性DV被害者の相談先
DVは女性だけの問題ではありません。男性被害者の方も、DV相談プラス(0120-279-889)を性別を問わず利用できます。各自治体が設置する「男性相談窓口」でもDV被害の相談を受け付けているところがあります。「男性なのに相談しにくい」と感じる場合でも、公的窓口では秘密厳守・匿名での対応が基本です。
DV相談をためらう理由と、それでも相談すべき理由
DVの被害者が相談に踏み切れない理由は、外から見るほど単純ではありません。よく聞かれる理由と、それぞれに対する客観的な視点を整理しました。
- 「殴られていないからDVではない」 — 精神的・経済的DVも法律が保護する立派なDVです
- 「自分にも非がある」 — 加害者が植え付けた罪悪感であることが多く、DVの常套手口のひとつです
- 「子どものために我慢すべき」 — 子どもにとってDV環境は深刻な悪影響を及ぼすとされています
- 「相談したら大事になる」 — 相談=離婚ではありません。情報を得るだけでも大きな意味があります
- 「経済的に自立できない」 — 生活保護・児童扶養手当など公的支援制度が用意されています
DV被害者は、長期間にわたり「お前が悪い」「大げさだ」と言われ続けることで、自己評価が低下し判断力が落ちていることが多いとされています。一人で判断しようとせず、まず中立的な第三者(公的機関)に話を聞いてもらうことが、状況を客観的に見直す第一歩になります。「まず情報収集だけしたい」という目的でも相談できます。
DV相談で聞かれること・準備しておくこと
初めての相談で「何を話せばいいか分からない」と不安になる方も多いです。事前に完璧に整理する必要はありませんが、以下の点をある程度確認しておくとスムーズです。
- いつ頃から暴力や暴言が始まったか
- 具体的にどんな行為があったか(頻度・内容)
- 現在の同居・別居の状況
- 子どもの有無と年齢
- 経済状況(収入の有無、通帳の管理者)
- 身体的暴力の場合、怪我の写真や診断書があるか
すべてを覚えていなくても大丈夫です。相談員が丁寧に聞き取ってくれますので、「話せる範囲で」「思い出せる範囲で」という気持ちで連絡してみてください。
DV相談に関するよくある疑問
相談したら配偶者にバレますか?
公的窓口(DV相談プラス・配偶者暴力相談支援センター・警察)はいずれも守秘義務があります。相談した事実が加害者に伝わることは原則ありません。ただし、警察が刑事事件として動く段階では相手に伝わる場合もあります。「どこまでの対応を希望するか」を最初に相談員に伝えておくと安心です。
証拠がなくても相談できますか?
相談するのに証拠は不要です。「証拠がないから相談できない」と思っている方も多いですが、最初の相談段階では証拠の有無を問わず話を聞いてもらえます。証拠の集め方や保全方法についても、相談員や弁護士からアドバイスをもらうことができます。
相談後、すぐに何かが動きますか?
相談しただけで何かが自動的に動き出すことはありません。次のステップをどうするかは、あくまでも相談者が決めます。「情報だけ集めておきたい」「まだ離婚は考えていない」という段階でも、相談の場を活用できます。
「これってDV?」と迷ったら
DVの被害者の多くは、「自分が受けていることがDVなのか分からない」と語ります。特に精神的DV(モラハラ)の場合、外から見える傷がないため、自分でも被害を認識しにくい状況があります。
以下のチェックリストに1つでも当てはまるなら、DV相談窓口に連絡する価値があります。
- パートナーの顔色を常にうかがっている
- 「お前が悪い」と言われ続けて、自分が悪いと思うようになった
- パートナーの許可なしに外出や買い物ができない
- 友人や家族との交流を制限されている
- 生活費を十分にもらえていない、または収入を全て管理されている
- 怒鳴られたり、物を投げられたりすることがある
- パートナーが怒ると「殺す」「出て行け」などの言葉を使う
1つでも該当するなら、まずDV相談プラス(0120-279-889)に電話してみてください。相談したからといって、すぐに何かが動き出すわけではありません。「話を聞いてもらうだけ」でも十分意味があります。モラハラとDVの境界線について詳しく知りたい方はモラハラ夫との離婚が怖いと感じたらもご覧ください。
相談後の選択肢
DVの相談をした後、すぐに何かを決める必要はありません。自分の状況に応じて、段階的にステップを踏んでいけばよいのです。
まずは情報収集
相談して「自分の状況はDVに該当するのか」「どんな支援があるのか」を知るだけでも大きな前進です。知識があるだけで、いざというときの行動が変わります。「今すぐ離婚する・しない」を決める必要はありません。
証拠の確保
暴言の録音、LINEのスクリーンショット、暴力による怪我の写真、日記形式の記録などは、将来の法的手続きで重要な証拠になります。ただし、相手のスマホを無断で確認する行為はプライバシー侵害のリスクがありますので注意が必要です。証拠の集め方については浮気・DV証拠の集め方も参考にしてください。
シェルターへの一時避難
身の危険がある場合、シェルター(一時保護施設)に避難できます。配偶者暴力相談支援センターや警察を通じて入所手続きが行われます。所在地は秘匿されるため、加害者に居場所を知られることはありません。シェルター入所中でも生活保護の申請が可能です。
保護命令の申立て
裁判所に保護命令を申し立てることで、加害者に対して「接近禁止命令」や「退去命令」を出してもらえます。違反すると刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になるため、一定の抑止力があります。申立ては法テラスや弁護士に相談しながら進めるとスムーズです。
DV防止法と法的保護の枠組み
「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」は2001年に制定され、その後も改正を重ねています。この法律により、以下の保護措置を裁判所に申し立てることができます。
- 接近禁止命令:加害者が被害者の住居・学校・職場などに近づくことを禁止(6ヶ月間)
- 退去命令:加害者を同居住居から2ヶ月間退去させる
- 電話等禁止命令:電話・FAX・メール・SNSなどによる連絡を禁止
- 子どもへの接近禁止命令:被害者と同居する子どもへの接近も禁止できる
保護命令を申し立てるためには、裁判所への申立書の提出が必要です。手続きが不安な場合は、法テラスや弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
DVを理由とした離婚・慰謝料について
DVは民法770条に定める法定離婚原因(「その他婚姻を継続し難い重大な事由」)に該当します。身体的・精神的DVが継続していた場合、離婚調停や離婚裁判で有利になる可能性があります。
慰謝料請求
DVを受けた配偶者は、加害者に対して慰謝料を請求できます。相場は婚姻期間・暴力の内容・継続期間によって異なりますが、一般的に50万〜300万円程度とされています。暴力が継続的かつ悪質な場合はさらに高額になることがあります。診断書・録音・写真などの証拠があると請求の根拠として有効です。
親権・面会交流
DV加害者との間に子どもがいる場合、DVの事実は親権・監護権の判断にも影響します。家庭裁判所は子どもの福祉を最優先にするため、DVがあったことが認められれば、加害者への親権付与を認めないケースもあります。面会交流についても、子どもへの影響を考慮した上で判断されます。
離婚の進め方や切り出し方について知りたい方は離婚の切り出し方をご覧ください。
DV被害者が使える公的支援制度
「お金がないから逃げられない」と思っている方のために、利用できる公的支援制度をまとめます。
- 生活保護 — DVから逃れた直後で収入がない場合に申請できます。シェルター入所中でも申請可能です
- 児童扶養手当 — DV被害で別居中でも、子どもを養育していれば受給できるケースがあります
- 母子生活支援施設 — 18歳未満の子どもがいる母子を対象とした入所型の福祉施設です
- 住居確保給付金 — 離職・廃業した場合、家賃相当額を原則3ヶ月間支給します
- 緊急小口資金 — 緊急時の一時的な資金が必要な場合、低利(場合により無利子)で借りられます
公的支援の詳細は、最寄りの社会福祉協議会や市区町村の福祉窓口でも確認できます。DV被害者には優先的に対応してもらえる窓口が多いため、遠慮せず相談してみてください。
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法的リスクの注意:相手のスマホの無断閲覧、パスワードの無断入力、GPSの無断設置、盗聴・盗撮、不正アクセスにあたる行為は、証拠として使えないだけでなく違法になる可能性があります。自分で確認できる範囲を超える場合は、探偵業届出のある探偵社や弁護士など、適法な手段を案内できる専門家へ相談してください。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。具体的な法律問題については弁護士にご相談ください。参考:法テラス(日本司法支援センター)
